本年度より鼻から投与するインフルエンザワクチン(痛くないのが売りのワクチン)が日本で承認され、投与できるようになりました。当院でも少数ですが入荷する予定(10人程度を予定)です。興味のある方は質問していただいて構いません。注射のインフルエンザワクチンとの違い、メリット、デメリットについて記載させていただきます。
(1)ワクチンの違い
フルミストは弱毒化生ワクチンです。注射のインフルエンザワクチンは不活化ワクチンですので大きく異なります。不活化ワクチンとはウィルスを薬で壊して、ウィルスの殻になったものを注射し、免疫を付けます。一方、弱毒化生ワクチンは弱毒化されているもののインフルエンザウィルスそのものを鼻から投与し、免疫を付けることになります。
(2)ワクチンの型の違い
フルミストは海外で製造され日本に輸入されたものになります。そのため、インフルエンザのワクチンの型(今年はやるだろうインフルエンザのタイプ)はWHO(世界保健機関)が決めたものになります。一方注射のインフルエンザワクチンは、ワクチンの型を日本の国立感染症研究所で決定するため、若干異なったものとなります。ワクチンの型の種類についても、フルミストはA型2種類、B型1種類に対し、注射のワクチンはA型2種類、B型2種類と若干異なります。
(3)フルミストの投与対象年齢について
フルミストの投与対象は2歳以上19歳未満となります。
(4)フルミストのメリットについて
一番のメリットは痛くないことです。また1回で済むので小児で2回やる必要のある方は受診の手間が少ないです。他流行したインフルエンザが、予想の型と異なった場合、インフルエンザウィルスそのものを投与しているので不活化ワクチンより予防効果が高いのではという報告があります。その点を考えると、とにかく痛いのが嫌なお子さんがまず第一、他受験生などもよいのではと考えます。
(5)フルミストのデメリットについて
輸入製剤ですので、国内で作るワクチンよりも高価になるため費用が注射のワクチンよりかかります。注射のワクチンは1回3500円(2回で7000円)、フルミスト7500円となります。他、生ワクチンのため、1%程度インフルエンザにかかってしまうことがあります。そのため2歳未満の兄弟がいる方、免疫機能が弱い方と同居の方は人にうつすリスクがあるので打つことができません。それでも投与希望の場合は、まず2歳未満の方のワクチンを投与後やることとなります。
(6)インフルエンザの型の問題
(2)に記載してありますが、若干注射のワクチンと投与の型が異なるため、どの型が流行するかで効果に若干の差が出るかもしれません。その年その年で、経鼻ワクチンの方が効いた、注射のワクチンの方が効いたとなる可能性があります。
予約なしで受けることはできますので当日受付前で希望してください。尚鼻から投与するワクチンにて、当日鼻水で鼻が詰まっている場合は処置後投与しますのでその場合は、ワクチン投与のみではなく、一度診察してから、ワクチン投与となることもあります。